お昼過ぎにドアホンのチャイムが鳴った。
モニターの画面には、制服姿の若い女性が映っていた。
音声マイクの調子が悪く、相手の声が全く聞こえなかった。
でも、彼女は、にこにこした表情で一生懸命しゃべっている。
ああ、また、訪問販売だな、と思った。
きっと新入社員の研修で、外回りをしているんだろう。
対応するのは面倒だけど、仕方ないなあ、と、ぶつぶつ独り言を言いながら、玄関のドア
をそっと開けた。
そこに立っていたのは、中学生ぐらいの女の子だった。
てっきりセールスの人だと思っていたので、いささか拍子抜けしてしまった。
何と、彼女は、飼っている猫が行方不明になったので、近所を一軒一軒訪ね回っている
のだ。
「この猫を見かけたら、こちらに連絡してください。」
彼女はそう言って、猫の写真を見せ、ケータイ番号を書いた付箋を私に手渡した。
茶色と白の縞々模様の猫だった。
ずっと家の中で飼っているが、夕べから姿が見えないそうだ。
この辺りでは、いろんな猫をよく見かけるが……
飼い主にとっては、さぞかし心配な出来事に違いない。
早く無事で見つかってほしい。
彼女からもらった付箋を、電話機の側のカレンダーに貼った。
ところで、最近、家の中の電気製品に不具合がよく起きている。
ドアホンの音声マイクの他に、洗面台の照明が点灯しないのである。
顔を洗ったり、化粧をしたりするのに、暗くてやりにくい。
鏡に映った自分の顔の状態がきちんと確認できないから、怖ろしい状態のまま外出して
いるのかもし れない。
まだらな顔になっていたとしても、「変ですよ。」 とは、他人は忠告してくれない。
家族も無関心だから、何も言わない。 言われた時は、よっぽど酷い姿になっているとい
うことだ。
だから、ま、いいか、当分このままで。 電気代が節約できるし。
2 件のコメント:
迷子の猫が早く見つかりますように。
洗面所のあかりは、電球or蛍光管を交換するタイプではないのですか??
ご心配をおかけしました。蛍光管を取り替えて、三日ぶりに復旧しました。
やれやれ…
室内猫なので、やはりとても心配です。
コメントを投稿