見ず知らずの他人から、「コイツ」 と呼ばれたら、腹が立つだろう。
お店の人から、客である自分に、「コイツ」 と言われたら、やっぱり不愉快になるだろう。
では、自分が買おうとしている商品を、店員が「コイツ」 と言ったらどうだろうか?
その商品にもよると思う。
例えば、食料品売り場で、ジャガイモや魚だったら、「コイツはお買い得だよ」 とか、「コイツは活きが
いいよ」 と、店員が言っても、違和感はないと思う。
同じ言葉でも、その時の状況や使う人によって、随分印象が変わる。
つまり、人は誰でも、状況に応じて、言葉を巧みに使い分けているのである。
今日ある店の衣料品売り場のレジに、下着を数枚持って行った。
レジには、「研修中」 というネームカードを胸に付けた若い店員がいた。
そして、彼女の横には、これまた若い男性店員が立っていた。
彼は、新米の店員を指導する係りだったようだ。
割引商品のレジ打ちの仕方について、手取り足取り彼女に教えていた。
その姿は微笑ましくもあったが、最後の一枚になった時、彼はこう言った。
「コイツは、こうやって…」
「客が買おうとしているその物に向かって、コイツとはなんだ!」
と内心叫びながら、実は、可笑しくてたまらなかった。
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