2008年10月14日火曜日

点子ちゃんとアントン

 知り合いのお店で時々開かれている絵本の勉強会に参加している。

講師は、書店の店長さんで、外国の絵本が多いのだけど、作者の生い立ちに触れながら、絵本の隠れ

た魅力について話を聞かせてもらっている。

 ケストナーの、「点子ちゃんとアントン」 は、この勉強会とは直接関係がない本である。前回参加した

時、会場の店にたまたま置いてあったのを、私が偶然見つけて、「あっ!」 と小さく叫んでしまった。

 子どもの時、一度だけ読んだことのある物語。ストーリーは、何も覚えてない。でも、読み終えた後、

温かくて、ふわっとした懐かしい感じに包まれたような、ほのかな記憶がある。10歳やそこらで懐かし

いという感覚はおかしいかもしれないが、意外と子ども時代にそういう思いを何度かしている。



 この物語は、私の中で、ずっと気になっていた。ほんの少しだけ、どこかで引っかかっている感じだっ

た。何が、という訳ではなくて。いつか読んでみようとささやかに思い続けていたが、結局手にすること

も、あえて手に入れようとすることもなかった。



 高校の時、クラスメートの女の子が、「◇◇君は点子ちゃんとアントンに出てくるアントンに似ている」 

と言ったことがある。「◇◇君がアントン?」 本の挿絵に出ている見た目の彼が級友に似ていると言う

のだ。それについては、私は肯定も否定もしなかった。覚えていないからできなかったのだ。



 数十年ぶりに読むと、意外な発見があって、楽しかった。



 児童書とは言え、完訳なので、大人にとっても読み応えがある。子ども向きの平易な訳文ではないか

ら、普段使ったことのないような、難しい語句も出てくる。

それに、ドイツの子どもの話なので、人の名前がとても難しい。聞き慣れない響きの名前が多い。

 ところで、外国の話だと言うのに、何故主人公の女の子の名前が「点子ちゃん」 なのか、ずっと不思

議だった。

この謎は、今回初めて明かされた。子どもの時、自分は分かっていたのかどうか、非常に曖昧だ。

物語の内容については、全然覚えてないのに、読んでいる最中の、面白いと感じる心の動き、読み終

えた時の幸せな気持ちは、たぶんあの頃味わった感覚と変わらないと思う。

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