面白いからそのままにしているとしか思えません。
夜、このビルに行き、上階の書店に立ち寄った。閉店間際の店内は、お客がまばらだった。ふと、八王
子の駅ビルの事件を思い出す。もし、ここで、通り魔が襲って来たら、自分はどう対処できるだろうか?
何もできないかもしれない、悲鳴さえ上げられないのでは。
その時、書棚の向こうから、若い男がこっちへ近づいて来るのに気付いた。ポケットに手を入れたまま
だ。私は、彼の手を目で追っていた。ポケットの中からナイフが出て来たら、大声を出そう。
とか何とか……
ああ、なんていやな世の中になってしまったのだろう。善良な若者は、私に完璧に疑われていたのだ。
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